くらしのコラム
地震に強い住まい 「耐震」「制震」「免震」の違いって?


既婚女性286名を対象に行ったアンケートによると、『「耐震」「制震」「免震」という3つの地震対策をどの程度ご存知かお選びください(単一選択)』」という質問に対して、3つの地震対策それぞれ、 「知らない」と回答した方が「知っている」と回答した方を大きく上回るという結果になりました。
最も認知度が高かった「耐震」について「知っている」と回答した方は全体36%。
最も知られていない「制震」については「知っている」と回答した方が全体のわずか12%という結果に。
今回は、地震に強い住まいを実現するための「耐震」「制震」「免震」という3つの工法についてどのようなものなのかをご紹介します。
データ・画像参考
*おうちくらぶ「地震対策」についてのアンケート結果(2012年2月実施)
http://www.ouchiclub.com/result/result35.htm
柱や壁を強化して揺れに強くする「耐震」

「耐震」という言葉は、この3つの地震対策の中では一番なじみ深い言葉ではないかと思います。
耐震工法は、国内で最も普及している工法です。
壁や柱を強化したり耐力壁を設けたりすることで建物自体を堅く、振動に強くする構造のことを言います。
大きな地震の場合には、建物の骨組みを損傷させてエネルギーを吸収します。
「揺れに耐える」という考え方なので、揺れ自体を軽減することはなく、地震の揺れは建物内部に伝わり、上階になるほど揺れが大きくなります。
このため、建物の倒壊は防げても、家具の転倒などによる被害が起きる可能性があります。
構造部分で建物の揺れを吸収・軽減する「制震」

「制震」は、建物の構造部分に「制震装置」を組み込み、地震時に発生する建物の揺れを吸収することで軽減する工法です。
耐震構造に比べ建物の揺れを軽減することができ、建物内での家具転倒などの被害を抑えます。
また、地震の揺れだけでなく、強風による建物の揺れに対しても効果を発揮します。
上層階に行くほど揺れが大きくなる高層ビルなどにも向いている工法です。
地震の揺れを直接建物に伝えない「免震」

揺れを軽減するという点において、最も効果が高いのが「免振」です。
免震工法は、建物の基礎部分に「免振装置」を設置し地盤と切り離すことで、地震による揺れを建物に直接伝えないようにする工法です。
地震のエネルギーを吸収し、緩やかな横揺れに変えることで、家具の転倒などの被害を最小限に抑えることができます。
耐震工法や制震工法の建物と比べて、建物の揺れを3分の1程度まで軽減すると言われています。
ただし、工事費は最も高く、工期も他の二つの工法と比べて長くなりがちなのが難点と言えるでしょう。
また、免震工法は地盤を選ぶため、軟弱地盤では用いることができません。
現行の建築基準法は、震度6強の地震で倒壊しない強度が基準とされています。
このため、どの工法であっても地震に対して倒壊しない強さは確保されていると言えます。
その上で、建物内での揺れの大きさなどに差が表れるのが工法による違いだと言えるでしょう。
2015.04.30
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