くらしのコラム
内窓リフォームとは?メリット・デメリット・施工事例を紹介

自宅の快適さを向上させるために、内窓(二重窓)リフォームを検討する方が増えています。内窓の設置は、断熱効果や結露防止、防音対策など、さまざまな住まいのお悩みの改善をはかるメリットがあります。本記事では、内窓リフォームの基本的な知識や、実際にかかる費用、具体的な施工事例を交えて、そのメリットとデメリットを詳しく解説します。また、補助金や助成金制度の活用方法など、内窓リフォームのヒントを紹介しています。
内窓(二重窓)とは
内窓は二重窓ともいい、元からある窓の内側(室内側)にもうひとつ設置した窓のことです。元からある外側の窓は「外窓」、新しくつける内側の窓は「内窓」や「インナーサッシ」と呼ばれています。断熱効果や防音効果などいくつかの効果も期待できます。
二重窓とペアガラス(複層ガラス)との違いとは?
二重窓と、ペアガラス(複層ガラス)は混同されがちですが、全くの別物です。
二重窓は、その名の通り窓が二つあるイメージです。窓ガラスを入れるサッシ枠も二つあり、開閉の際は両方の窓を操作する必要があります。
一方でペアガラス(複層ガラス)は、ガラスが2枚になっている(3枚の製品もある)ものを指します。ガラスとガラスの間に空気層を挟んでいて、その2枚のガラスをひとつのサッシ枠にはめている形です。
ペアガラスは、新築の一戸建てで現在よく用いられているガラスです。2枚のガラスの間にある空気層により断熱効果があり、結露対策としても有効です。ただし、防音効果や防犯効果はそれほど期待できないため、それらの効果を高めたい場合は、防音や防犯性能を高めた専用のペアガラスを選択するとよいでしょう。
なお、両者を組み合わせて、二重窓のガラスにペアガラス(複層ガラス)を使用したものもあります。
内窓リフォームの費用相場
内窓のリフォームには、材料費と工賃がかかります。窓のサイズやリフォームする窓の数、使うメーカーによって費用は変動しますが、内窓リフォームの費用相場はひとつの窓につき5万~20万円が目安です。ただし、遮音効果や紫外線カット効果を高めたものなど、性能の高いサッシや窓ガラスを使用する場合は、40万円前後かかることもあります。
また、窓の工事をする際は大抵1枚だけではなく、複数の窓を一度に工事する場合が多く、その場合はその枚数に応じて金額も上がります。
内窓リフォームによるメリット
内窓リフォームをすることで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか?ここでは、内窓リフォームによるメリットを4つに絞り紹介します。
断熱効果が期待できる
内窓リフォームによって、内窓の断熱性能に加えて、元からある窓と、新しく取り付けた窓との間にできる空気の層が断熱性能を発揮します。つまり、内窓があると、窓ガラスが1枚だけの場合に比べて熱を直接伝えにくくなります。
また、近年内窓に使用されているサッシ枠は樹脂製の商品が多いですが、従来のアルミなど金属製のサッシ枠に比べて断熱効果が高いのが特徴です。樹脂製のサッシ枠の素材であるポリ塩化ビニルは、熱伝導率がアルミの約1,400分の1しかなく、非常に高い断熱効果があります。
冬の室内の暖房で温められた空気が外気の冷気によって冷やされる熱の流出や、暑い夏の外気が冷房で冷やされた室内へ侵入する熱の流入は主に窓などの開口部から出入りするため、窓の構造は家の断熱性能を大きく左右します。窓のリフォームによって室温を快適に保てるようになると、冷暖房の使用が減り、電気代などの光熱費の節約にもつながります。
結露を防げる

内窓の設置には結露を防ぐ効果もあります。結露が減ることで、サッシ枠の傷みやカビの発生を防ぐことにもつながります。カビの胞子が室内の空気中に広がると健康にも悪影響を与える恐れがあるため、結露対策はとても大切です。
そもそも結露は、室内外の温度差が大きく、室内の湿度が高い条件で発生しやすくなります。内窓の設置で部屋の断熱性を向上すると結露の原因となる外気との熱の流出が減り、結露の発生を抑えることが可能です。
防音効果がある
内窓に防音効果があるのは、窓の気密性が高まって、音波が伝わりにくくなるためです。外からの音を防ぐだけでなく、室内から出る音も抑えられるため、子供が騒ぐ声や楽器を演奏する音などが外に漏れる心配を減らすことができます。
ただし、電車が通る際の地面の振動が建物を通じて伝わる音(振動音)は、内窓では軽減できません。一方で、空気中を伝わる音(走行音)は軽減できます。そのため、線路の近くでは期待したほどの防音効果が得られない可能性があり、注意が必要です。
防犯性を向上できる
窓ガラスを割って侵入する泥棒・空き巣には、内窓の設置により侵入に時間がかかるようにすることで、防犯効果を期待できます。
防犯リフォームを検討している方には、窓周りを厳重にできる内窓を設置することをおすすめします。とはいえ、外窓も内窓も一枚ガラスの窓では防犯対策としてはまだ不足しているかもしれません。防犯に特化して作られた窓ガラスの使用も検討もおすすめです。
内窓リフォームによるデメリット
メリットの多い内窓リフォームですが、デメリットも理解しておくことで、こんなはずではなかったという後悔を避けることが可能です。以下では、内窓リフォームによるデメリットを取り上げます。
開閉やお手入れの手間が増える
内窓を設置すると、慣れるまでは開閉が面倒だと感じられる場合があります。例えば、洗濯物を干す際など家の中とベランダと行き来する場合には、手間に感じることもあるかもしれません。
また、窓の数が増える分、掃除の手間も増えることになります。ただし、内窓を設置すれば結露が減り、結果的にカビの発生も抑えられるため、拭き掃除の手間は減る可能性が高いでしょう。
部屋が狭くなったと感じられる場合がある
内窓を新たに設置すると数センチ程度室内に出っ張るため、部屋が少し狭く見えたり、圧迫感を感じたりする可能性があります。特に、狭い部屋に設置する場合や、窓の面積が大きくて存在感がある場合、出窓に設置する場合は気になるかもしれません。業者と相談のうえで、狭く見えない形や色のものを選ぶことをおすすめします。
内窓の設置によるデメリットが気になる場合には、既存の窓枠をそのままに、上から新しい窓枠を被せてすっぽり覆うカバー工法の窓を検討してもよいでしょう。
内窓を選ぶ際のポイントとは

内窓の性能はガラスの選び方で大きく変わってきます。以下では、設置する目的に合わせてガラスを選べるようにするため、ガラスの種類について説明します。
内窓・二重窓で使われるガラスの種類
内窓・二重窓で使われるガラスの種類には、以下のようなものがあります。
単板ガラス(1枚ガラス)
特に機能を持たない一般的なガラスです。そのため内窓リフォームによるプラスの効果は下記の三つよりも少なくなります。ただし、単板ガラスの中にも、強度が高い強化ガラスや、部屋の中が見にくくなるような加工を施したものもあります。
複層ガラス(ペアガラス)
2枚のガラスの間の空気(またはガス)の層が断熱効果を発揮します。そのため、断熱や結露防止にはおすすめです。ただし防音性能についてはあまり効果が得られません。
合わせガラス
2枚のガラスの間にある中間膜を入れて貼り合わせたガラスです。中間膜の種類により、防犯や防音、紫外線防止などの効果を持たせているので、目的に応じて欲しい機能を持った製品を選べます。しかし、断熱や結露防止などの効果はあまり期待できません。
真空ガラス
2枚のガラスの間にある真空層により、断熱、結露抑制、防音性能があります。こうした目的で設置する場合に適したガラスです。
性能が高い仕様の商品ほど、価格も高額になる傾向があります。
内窓のリフォーム方法とは
内窓のリフォーム方法にはどのような方法があるのでしょうか?本格的な内窓を設置せずに内窓のメリットを感じたい場合には、DIYで簡易的な内窓を設置する方法もあります。
内窓はDIYでリフォームできる?
リフォーム業者と同じように、ガラス製の内窓を自分で設置するのは困難です。DIYで窓リフォームするなら、中空ポリカーボネートを使って簡易内窓を作るという方法があります。その場合、ホームセンターで販売されている、中空ポリカーボネートを利用した簡易内窓のDIYキットを利用するとよいでしょう。
メリットとしては、材料費のみで済むため、費用を安く抑えられることが挙げられます。また、穴を開けずに両面テープで設置できるため、賃貸住宅でも使用可能ですが、テープの跡が残らないように時折チェックする必要はあります。
反対にデメリットとしては、中空ポリカーボネートはガラスのような透明度ではないため窓からの景観を損なうこと、ガラスの窓に比べると強度が小さいことが挙げられます。また、サイズを正確に測る手間もかかりますし、もし少しでも誤差が出ると隙間が生じてしまい、断熱性能などが落ちてしまう可能性があります。
一部の窓だけリフォームをすると効果が実感できない場合があるので注意が必要
内窓リフォームを行っても、方法によっては断熱や防音の効果が実感できない場合があります。例えば、部屋の中の一部の窓だけに内窓を取り付けた場合や、DIYで取り付けた場合です。費用や時間をかけて内窓を設置した割に効果がなく後悔したといったことを避けるために、信頼のおける専門業者を探して、設置目的に合った方法を相談しましょう。
内窓リフォームに使える補助金・助成金

内窓リフォームは費用が高いから、とリフォームを諦めている方はいませんか?実は内窓リフォームをする際に利用できる補助金や助成金の制度もあります。
以下では、内窓リフォームに使える補助金・助成金を解説します。ただし、情報は随時変更される可能性があるため、実際に利用する際には公式サイトで最新の情報を確認するようにしてください。
先進的窓リノベ2025事業
先進的窓リノベ2025事業は、内窓の設置・外窓の交換・ガラス交換が利用の対象の補助金制度です。住宅の省エネ化を進めることで、光熱費軽減や快適性の向上、CO2排出量削減、関連産業の活性化やGX推進などを目的としています。高い断熱性能を持つ窓にリフォームした場合、費用の1/2相当(上限200万円)が定額補助されます。リフォーム施工業者が申請し、リフォームした家の所有者に全額還元することになっています。
※2025年2月5日時点での情報です。期間や上限、利用条件等の規定があります。
参考:先進的窓リノベ2025事業の概要|経済産業省
2025/03/03追記
「住宅省エネ2025キャンペーン」のサイトが開設されました。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
既存住宅の質の向上や子育てしやすい環境の実現などを目的とした補助金で、性能向上をはかる窓のリフォームも補助金の対象となります。2024年度の場合、費用の1/3(上限80万円)が補助されました(認定長期優良住宅型の場合は上限160万円)。こちらの補助金も申請するのはリフォーム施工業者です。
2024年に実施された事業であり、2025年度も国土交通省が優良な住宅ストックの形成に向けた支援が行われる予定ですが、現時点では具体的な詳細は公表されていません。
※2025年2月2日時点での情報です。期間や上限、利用条件等の規定があります。
参考:令和6年度長期優良住宅化リフォーム推進事業|国立研究開発法人 建築研究所
長期優良住宅化リフォーム推進事業|国立研究開発法人 建築研究所
令和7年度 住宅局関係予算決定概要|国土交通省住宅局
自治体による補助金・助成金
窓のリフォーム工事の補助や助成を、国から支給される補助金とは別に行っている自治体もあります。自治体ごとに内容は違うため、リフォームを計画する際に、自治体のホームページで補助金や助成金がないか確認しましょう。「○○県 窓 補助金」などで検索することも可能です。
内窓リフォームの施工事例
以下では、内窓リフォームの施工事例を二つ紹介します。
事例1. ダイニングスペースに内窓を設置
1つ目は、ダイニングスペースに内窓を設置した事例です。夫婦とお子様3名でマンション暮らしをしているT様は、施工期間2カ月でダイニングスペースを中心にリフォームされました。結露や暑さ寒さ、幹線道路が近いゆえの騒音などの問題を解消するために、断熱効果や防音効果のある内窓を各窓に設置しました。ダイニングスペースが、家族が快適に集える空間に生まれ変わり、とても満足しておられます。
T様の事例は、以下で詳しく紹介しています。
事例2. 結露を防ぐために内窓を設置
結露を防ぎながら、和室らしさを演出したリフォームの事例です。S様は、新築の家に住み始めて5年ほど経過した頃から、窓の結露が気になりだし、リビング、和室、寝室、廊下、趣味の部屋など計8か所の窓に内窓(インプラス)を設置しました。以前は健康への影響を心配し、結露の拭き取りに毎朝30分以上費やしていましたが、リフォーム後は冬でも結露がなく期待通りの効果があったそうです。
また当初は和室に障子を入れなかったことを後悔されていましたが、内窓(インプラス)にはリアルな障子調のデザインがあったこともよかったようです。結露防止に加えて障子もつくというまさに一石二鳥なリフォームに満足されています。
S様の事例は、以下で詳しく紹介しています。
おわりに
元からある窓の内側(室内側)に、もうひとつ窓を設置する内窓(二重窓)リフォーム。断熱、結露抑制、防音、防犯などさまざまな効果が期待できます。効果を高めるために、リフォームの際にペアガラス(複層ガラス)を使うことも検討できるでしょう。また、内窓のリフォームを検討している方は、補助率の高い補助金事業「先進的窓リノベ2025事業」が利用できる今のうちにリフォームするのがおすすめです。
アイフルホームでは豊富な施工実績があり、経験豊富なスタッフに内窓リフォームについてご相談いただけます。リフォームを検討されている方はぜひお気軽にご相談ください。
2025.03.05
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