くらしのコラム
断熱材にはどんな種類がある?使うメリットや選び方を徹底解説!

リノベーションを検討している方にとって、断熱材選びは快適な住まいづくりに欠かせません。適切な断熱材を選ぶことで、冬は暖かく夏は涼しい快適な住環境が実現し、省エネにも繋がります。本記事では、代表的な9種類の特徴やメリット・デメリットを解説し、選び方のポイントもお伝えします。
断熱材の基礎知識 特徴とその効果
断熱材は、熱が伝わるのを防ぐ素材であり、住宅の壁や床などに使用されます。建物内部と外部の温度差を調整し、快適な住環境を提供します。
夏場には外の暑い空気が室内に伝わりにくくなり、室内を涼しく保てます。逆に冬場には暖房の熱が外へ逃げにくくなり、室内の暖かい状態を長く維持できます。その結果、冷暖房の効率が向上し、省エネや光熱費の削減にも繋がります。
断熱材にはさまざまな素材がありますが、それぞれ特徴や効果が異なるため、住宅の構造やリフォームの目的に合わせて適切なものを選ぶことが重要です。
断熱材の仕組み
断熱材の基本的な仕組みは、空気自体が熱を伝えにくい性質(低い熱伝導率)を持っているため、無数の細かい空気の層や気泡の中に空気を閉じ込めることで、熱を伝えにくくすることにあります。例えば、ガラスを主原料とする無機繊維系の素材や、無数の気泡を持つ発泡プラスチック系の素材などが代表的です。これらは熱伝導率が低いため、効率的に熱の移動を防ぎます。また、断熱材の厚みが増すほど効果が高くなります。
断熱材は、建物の壁や床に充填し、気密部材を併用して適切に施工することで、断熱性と気密性を向上させます。
断熱性能は材料の性能と厚さが大切
住宅の快適性や省エネ性能に大きく関わる断熱性能。その性能を左右するのが「熱伝導率」と「熱抵抗」です。
熱伝導率とは?
熱伝導率は、物質内部における熱の伝わりやすさを示す数値です。材料の厚さ1m、温度差1℃、1㎡あたりの熱の伝わりやすさを示す数値です。
単位はW/(m・K)で、数値が小さいほど熱が伝わりにくくなります。断熱材自体の性能はこの熱伝導率で比較することができます。
熱抵抗とは
熱伝導率は物質自体の性能を示す値ですが、熱抵抗とは、厚さを考慮して、温度差1℃、1㎡あたりの材料の熱の伝わりにくさを表す数値です。断熱の性能を表す際に用いられ、この数値が大きいほど熱を通しにくく、断熱性能が高いことを意味します。
単位は㎡K/Wで表され、計算式は「熱抵抗 = 厚さ ÷ 熱伝導率」となります。
つまり、高い断熱性能を実現するには、熱伝導率の低い断熱材を選ぶことと、断熱材の厚さを確保することの2点が重要になります。
例えば、同じ厚さでも、熱伝導率の低い断熱材を選ぶことで、より高い断熱性能を得られます。また、熱伝導率が同じであれば、断熱材の厚さを増やすことで熱抵抗値を高め、断熱性能を向上させることができます。
しかし、断熱材を選ぶ際には、熱伝導率や熱抵抗だけでなく、施工のしやすさやコストなども考慮する必要があります。
断熱材としてよく使われる9種類の素材
ここでは、断熱材としてよく使われる素材のうち、9種類の特徴や価格の目安、使用場所や用途について紹介します。
グラスウール
ガラスを細かい繊維状に加工した無機繊維系断熱材の一種です。そのコストパフォーマンスの高さから、広く普及しています。
特徴
鉱物(ガラス)の細い繊維と繊維の間に空気を取り込むことで優れた断熱性を発揮します。鉱物由来のため燃えにくく、吸音性にも優れており、防音材としても利用されます。繊維の密度が高まると断熱性も向上します。ただし、湿気に弱く、防湿・結露対策が必要です。
使用場所や用途
壁、天井、床など、さまざまな場所に施工が可能です。主に住宅用断熱材としての普及率の高さ、施工の柔軟性と価格の手頃さから、多くの家庭や建築物で利用されています。湿気対策が施された製品もあり、用途に応じて選べます。
ロックウール
玄武岩や鉄鋼スラグなどの鉱物を主原料とし、高温で溶かして繊維状に加工した無機繊維系断熱材です。燃えにくく、撥水処理が施された製品もあります。
特徴
高い耐火性と断熱性を持つだけでなく、吸音性も優れているため防音材としても利用されます。撥水性が高いという特性があるものの、湿気対策は必要です。
使用場所や用途
天井、壁、界床(上下階の間にある床)など、さまざまな場所に施工することが可能で、特にマンションの外張り断熱工法に使用されることが増えています。また、湿気対策として防湿フィルムが貼られた製品も多く、外部環境に適応しやすい素材です。
セルロースファイバー
新聞紙や段ボールなどの天然木質系原料を使用し、綿状に加工した木質繊維系断熱材です。結露を防ぐ効果と防音効果があります。
特徴
ホウ酸を加えることで難燃性(防火性能)や防虫効果を向上させています。吹き込み工法や吹き付け工法を用いて充填するため隙間ができにくく、高い気密性が確保されます。また、素材自体が持つ吸放湿性により、内部結露の発生を抑制します。
使用場所や用途
壁や天井、床など、さまざまな場所に施工でき、高い気密性と断熱性が求められる箇所に適しています。また、結露や防音への対策が必要な場所にも効果的です。
羊毛(ウールブレス)

天然のウールを原料にし、防虫処理が施された天然素材系の断熱材で、環境にも配慮された素材です。
特徴
繊維が絡まり合うことで空気を取り込み、高い断熱性を発揮します。また、調湿効果があり、湿気を吸収・放出して室内の湿度を一定に保ちます。これらの特性によって、結露だけでなくカビや白アリの発生も予防します。
使用場所や用途
主に壁や天井、床などに使用されます。マット状や綿状の形態があり、施工方法も多様です。特に結露対策や防音対策が求められる場所で効果的です。自然素材であるため、健康被害の心配が少なく、小さな子どもやペットがいる家庭でも安心して使用できます。
フェノールフォーム
フェノール樹脂に発泡剤や硬化剤を加えた発泡プラスチック系断熱材です。
特徴
熱伝導率が非常に低い(0.019~0.036 W/(m・K))ため、高い断熱効果を発揮します。フェノール樹脂は熱を帯びると硬化し、燃えにくく、有毒ガスが発生する心配もほとんどありません。耐久性にも優れており、長期にわたって安定した断熱性能を維持します。
使用場所や用途
主に外張り断熱工法に使用されます。建物の外側で熱を遮断する役割を果たし、高い断熱効果を発揮します。比較的簡単なビス留めとテープ貼付の施工で高い断熱効果を発揮し、ボード状や複合パネルとして使用されます。
ビーズ法ポリスチレンフォーム
ポリスチレン樹脂に発泡剤などを添加し、ビーズ状にしたものを発泡成形した発泡プラスチック系断熱材です。一般的には「発泡スチロール」として知られています。
特徴
軽量で耐水性と耐久力があり、衝撃にも強いため、輸送用の緩衝材などで広く利用されています。また、断熱性能の高さから、特に寒冷地での道路舗装や住宅の断熱材としても多く使用されます。形状はボード状をしており、製造時に金型の形を変えることで、さまざまな形状の製品が作られます。
使用場所や用途など
住宅の外壁、屋根、床下、天井など、多様な場所への施工が可能です。外張り断熱工法で使用されることが多く、高い断熱効果を発揮します。軽量で取り扱いやすいため、施工の手間は比較的少なくてすみます。
押出法ポリスチレンフォーム
ビーズ法ポリスチレンフォームとほぼ同様にポリスチレン樹脂などを原料とし、発泡成形した断熱材です。成形方法が異なるため、硬質で耐圧力が高く、吸湿・吸水性が小さいという特徴があります。
特徴
非常に軽量でありながら高い耐久性を持っています。無数の気泡で構成されており、断熱性能にも優れています。また、耐水性が高く、吸水・吸湿性が小さいため、湿気に対しても強さを発揮する素材です。形状はボード状で、外張り断熱工法などに多く使用されます。
使用場所や用途など
外張り断熱や基礎の断熱に適しており、高い断熱効果を発揮します。施工や加工が比較的簡単であり、軽量なため取り扱いが容易です。
硬質ウレタンフォーム

ポリウレタン樹脂に発泡剤を加えて成形した発泡プラスチック系断熱材です。断熱性が高く、複雑な構造の建物でも扱いやすいという利点があります。
特徴
気泡に含まれる小さなガスが熱伝導を抑えて、高い断熱性を発揮します。また、水や湿気が侵入しにくく、結露やカビの発生を抑えます。現場での発泡がしやすく、多様な材料と接着できるため、複雑な構造の箇所にも隙間なく断熱層を作ることが可能です。デメリットは、高価で、燃えると有毒ガスが生じる可能性があることです。
使用場所や用途など
壁、天井、床など、さまざまな場所に使用されます。ボード状の素材のほか、施工箇所へ直接吹き付ける工法もあり、複雑な構造の建物でも使用可能です。
アイフルホームの「まるごと断熱リフォーム」は、硬質ウレタンフォームを壁・床の断熱に活用して高い効果を発揮します。
ポリエステル
再生プラスチック、特にペットボトルを原料にしたポリエステル繊維で製造されたボード状の断熱材です。
特徴
熱を加えると形状が固定されるので、接着材が不要です。このため、ホルムアルデヒドを発生させず、燃えた場合も炭酸ガスと水に分解されるので有害ガスを発生しません。透湿性能(湿気の通しやすさ)が高く、湿気を吸わないため、断熱性能が低下しにくいという特徴があります。
使用場所や用途など
壁、天井、床など、さまざまな場所に使用されます。ボード状のものや、両サイドに耳が付いているもの、ブロータイプなど、製品は多様です。湿気を吸わないため、湿度の高い場所でも効果的に使用できます。
昨今注目されている「真空断熱材」とは
真空断熱材とは、内部を減圧して真空状態にした断熱材のことです。グラスウールなどの断熱性の高い素材をラミネートフィルムで覆い、内部を減圧して真空状態にしたものを指します。
使用用途
熱を逃がさずに内部温度を維持できるため、家庭用冷蔵庫や自動販売機などに使用されています。2018年の省エネ法改正をきっかけに、各種機器の熱効率向上を目的として、真空断熱材の導入が検討されています。
仕組み
熱を伝えるには、媒質(気体、液体、固体)が必要です。真空断熱材では、芯材として使用されるグラスウールなどをラミネートフィルムで覆い、内部の空気を抜くことで、空気による熱伝導をほとんど生じさせません。ただし、ラミネートフィルムに穴が開くと空気が内部に侵入し、断熱材としての性能が急激に低下します。また、経年劣化で破れが生じる可能性もあるため、長期使用には注意が必要です。
住宅への導入
従来の断熱材と比べ、より薄い構造で優れた効果を得られるため、限られたスペースを有効活用しながら省エネ住宅の実現に貢献することが期待されています。アイフルホームのひと部屋断熱「ココエコ」は、真空断熱材を活用した断熱で高い効果を発揮します。
住宅に断熱材を使うメリット

ここでは、住宅に断熱材を使うメリットについて、快適性と省エネの観点から解説します。
室内での生活が快適になる
断熱材を使用した住宅では、外気温の影響を受けにくく、室内の温度が安定します。断熱材の施工によって熱の伝わる度合いが低下し、夏は涼しく、冬は暖かい快適な室内環境を維持することが可能です。
さらに、気密性が向上することで、隙間風が入りにくくなり、部屋ごとの温度差が少なくなります。これにより、寒暖差による体への負担を軽減し、ヒートショックのリスクも抑えられます。
省エネに繋がる
断熱材により、夏は冷房の冷気が逃げにくく、冬は暖房の熱が室内に留まりやすくなります。その結果、エアコンや電気ストーブなどの稼働時間を短縮でき、省エネに繋がります。
また、冷暖房の負荷が軽減されることで、時間あたりの電気やガスの使用量も抑えられ、光熱費が削減されます。これらを通じて環境負荷の低減にも寄与するため、エコな暮らしを実現可能です。
断熱材はどうやって選ぶ?
断熱材にはさまざまな種類があり、どれを選ぶべきか迷うかもしれません。そこで、断熱材選びのポイントを3つご紹介します。
性能で選ぶ
まず「断熱性能」に注目することが重要です。熱伝導率が低い素材ほど断熱効果が高くなりますが、断熱材の厚みが厚いほど熱抵抗は大きくなり、室内の温度を一定に保ちやすくなります。発泡プラスチック系断熱材は特に熱伝導率が低く、高い断熱性能を発揮します。また、グラスウールなどの無機繊維系断熱材も一定の断熱効果があり、防音性能にも優れています。ただし、性能が高いほどコストも上がるため、予算とバランスを考慮して選んでください。
施工箇所で選ぶ
断熱材は施工する場所によって適した種類が異なります。例えば、屋根や外壁には耐水性が求められるため、ビーズ法ポリスチレンフォームや押出法ポリスチレンフォームのような水に強い発泡プラスチック系断熱材が適しています。一方で、火を扱うキッチン周辺では燃えにくいグラスウールやロックウールといった無機繊維系の断熱材のほうが安全です。設置後の交換は難しいため、施工箇所ごとの特性を考慮して慎重に選びましょう。
安全性で選ぶ
断熱材の中には、発火した際に有毒なガスが出るものや、人体に良くない素材も存在します。これらの素材を避けて、安全性の高い断熱材を選ぶ方法もあります。特に以下の点は、しっかりと確認しましょう。
・発がん性物質の有無
・ホルムアルデヒド発散等級
・耐火性能および有毒ガス発生の有無
おわりに
断熱材は素材によって特徴や強みが異なります。そのため、リフォームの際は、施工会社に相談するのがおすすめです。
施工会社によって得意とする断熱材や工法に違いがありますが、重要なのは、断熱工事をしっかりと行い、気密性を高めることです。断熱材や工法にはさまざまな種類がありますが、アイフルホームでは、まるごと断熱リフォームや、一部屋断熱、窓だけの断熱など、多彩な施工方法を用意し、住宅の特性やライフスタイルに合わせた断熱リフォームを提案しています。お住まいにぴったりの施工方法を選ぶためにも、ぜひアイフルホームにご相談ください。
2025.03.03
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